11月18日(日)、雨の心配もなく、「第6回要援護者支援避難訓練」が氷川台自治会の本拠地「小山台遊園」を会場(避難所)に実施されました。総参加者は200人超。

過去5回の「避難訓練」においては、その都度、訓練終了後の反省会で問題点を抽出し、訓練内容の改善と訓練参加者のモチベーション維持に努めてきました。その結果「見る」が中心⇒「参加」が中心⇒「実戦」に即した全員参加型訓練に進化してきています。
訓練前、まずは防災会役員の最終打ち合わせと下準備から。


9時、「発災告知」、自治会内5区画にハンドスピーカーでサイレンを鳴らし、発災を告知し、ガス電気の点検と避難を呼び掛けます。

10月に「FMひがしくるめ」(6月開局)との提携で「緊急告知ラジオ」を導入、今年度高齢者を中心に80世帯に貸与(3年計画で全世帯に貸与予定)、11月からは「ラジオ回覧板」と題した定時番組(毎週木曜日11時から15分間)の放送も始まり、1週間の自治会予定を伝えています。この「緊急ラジオ」が初めて避難訓練に導入されました(テスト放送は7月の防災訓練で実施)。緊急一斉放送による発災の告知は、訓練会場でも大型スピーカーに接続してこの放送が流されました。

ハンドスピーカー・緊急告知ラジオを聞いて、自治会員が続々と避難してきます。受付では名前・被災状況の聞き取りをし、要援護者を除く避難者に、それぞれ避難所での役割を割り振ります(避難所に来た健常者は全員が役割を分担して要援護者支援に当たります)。これは今回が初めての試みです。
前回までは、訓練での諸担当は、事前に防災会役員・要援護者避難支援隊員を中心に、事前に役割を決めて、タイムスケジュールに組み込んでいましたが、今回、より実戦に近づけるため、名簿と役割表を組み合わせて、避難会員にそれぞれの役割を依頼、それを用意したボードに手書きで書き込み掲示します。たいへん手間のかかる作業だということが体験できました。


避難者が集まった会場では9時30分、「本部」立ち上げと同時に本部長による開会宣言がなされます。所用で出席出来ない殿田自治会長に代わって、林防災会長が本部長代理を務めます。
開会宣言
避難訓練には毎回参加してくれる並木市長は所用のため参加できず、名代として佐川秘書課長から激励の言葉をいただきました。佐川課長は昨年度まで、防災防犯課長として参加してくれています。
「訓練」の重要さを話された東久留米消防署・新川出張所 降矢所長は10名の消防隊員を率いて参加してくれました。
ここで、先日受賞した「あしたのまち・くらしづくり活動賞:内閣総理大臣賞」が本部長よりお披露目され、その後、会場に掲げられました。


いよいよ訓練の開始です。安否確認の係になった会員が集合し、避難してきている会員はチェックを付けた要援護者の名簿兼地図・トランシーバーを受け取り、確認方法を打合せし、5組に分かれ、それぞれの持ち場へ出発します。


安否確認隊は要援護者90名の名簿地図を手に避難している会員を除く家々を回り、無事であるとの目印「安否確認黄色旗」をチェックします。避難所に来られない会員は、黄色旗を掲げるという形で訓練に参加します。今回、黄色旗の掲示率は50%超です。そして、旗の出ていない家には声掛けをして安否の確認をします。異変があれば、トランシーバーで本部に報告します。



この間、会場では防災機材の紹介と体験が行われます。
車椅子(左)・エクセルチェアー(右:階段から人を下すための椅子型担架)
担架リヤカー:担架とリヤカーがセットになっている。80㎏の人を乗せ、会場から300mのライフパートナーこぶしまで往復。
毎回実施の「心肺蘇生・AED」体験は、会場中央で行なわれ、何人もの会員が体験します。

そして、災害時に最も深刻な問題となるトイレは、毎回ワンタッチトイレを展示してましたが、今回は初めて簡易凝固剤を使って疑似尿(水)を実際に固める体験をしてもらいました。参加者は皆興味津々で、自ら体験、あっという間に固まるのを見ておどろき、感心しきりでした。


また、マンホールトイレの体験のため路上のマンホールを開いて設置しました。現在自治会では3基を保有していますが、近々5基保有にし、自治会5組に1個ずつ配置できるようにします。

初期消火訓練。氷川台自治会にとって最も恐るべき災害は火災です。市設置の消火器に自治会でそろえた消火器を加え、自治会内に30基の消火器を設置してあります。訓練ではそのうち6基を素早く集め、消火器訓練を行います。もちろん実際に使用するのは消防署の模擬消火器です。「ケスゾー君」あらため「ほのお君」と名を変えた、実際に炎をあげる標的に向かって消火器を噴射します。炎の熱を身近に感じ、なかなかの臨場感があります。中には、運ぶ前に留め金のピンを抜いて噴射する人もあり、繰り返しの体験が重要だと教えてくれました。

昨年導入したD級ポンプの訓練です。小山台遊園の地下の防火水槽から汲み上げ放水します。マンホールは遊園入口にあり、重い蓋を開けポンプにつないだホースから放水します。昨年までは遊園隣りの自治会農園に放水しましたが、農園は閉鎖し民家の建築中なので、道路のマンホールを開いてその中へ放水しました。




スタンドパイプの訓練は5年目となります。D級ポンプ同様、火災の消火に威力を発揮します。水道管の水圧で噴射するので、動力は必要なく断水でない限り有効です。これもマンホールの中に放水しました。



放水担当は支援隊員ホーランドさん(アメリカ人)

訓練の合間には参加高齢者の多くが、昨年導入の災害用折り畳みベンチに腰かけて、休息します。
安否確認・各種訓練と並行して、会場では様々な活動が進んでいます。
炊出し訓練は、毎回、参加者の目に留まらない裏や室内で進められてきましたが、今回は実戦に近づけるということから、避難所の中で調理・煮炊きを公開しました。

今年3月に市が遊園に設置したかまどベンチ。

ベンチの上蓋をはずと、なかにアルミのかまどが2つ。このかまどを使い木炭を燃料にします。

炊き出し班が公開でトン汁の調理。衛生には細心の注意を払います。アルファ米非常食もここでつくります。

かまどに大鍋を掛けます。良い匂いに誘われて、何人もの人が近づいてきました。
前回に続き、非常食クッキング実演コーナーでは会員の馬場さんがさらに新たなレシピを紹介してくれました。

これも新たな取り組みとして、「ドコモショップ東久留米店」の協力を得て、携帯電話・スマホによる「伝言サービス」等の利活用を個々に解説してくれました。「携帯・スマホを持っているが電話以外使ったことがない、他の使い方が分からない」という人のために設けたコーナーです。この取り組みは、「オレンジカフェ」等で継続します。

今回も「東久留米市社会福祉協議会」の皆さんには、いろいろ助力をいただきました。会場にはブースを設けて、災害ボランティア関連の解説もしてもらいました。

東久留米消防署からは11名の消防士の皆さんが参加、あらゆる訓練の指導をいただきました。また、田無警察署からは3名の署員が参加、道路警備等にあたってもらいました。また市役所からは防災防犯課の3名が見学に訪れ、介護福祉課から参加された2名は実際の担架リヤカーによる緊急搬送に参加体験されました。

消防士(左)・警察署員 (右)の皆さん
全ての訓練が無事終了し、閉会では、東久留米消防署・新川出張所 降矢所長の講評をいただき、駆けつけてくれたお馴染み なごみさんが、FMひがしくるめのパーソナリティーとして挨拶、 林本部長代理が閉会の辞で締めくくりました。
閉会後のお楽しみ、たきだしで時間内に間に合った、できたて豚汁の配給です。「うまい」「おかわり」の声が響きます。アルファ米の非常食はお土産として、この日の昼食になりました。

今年の避難訓練は、より実戦に近づけることに主眼を置き、「受付」「安否確認」「「炊き出し」等で実験的に実施しました。また、機材の操作では、出来るだけ会員が操作し、消防士にはアドバイスをもらうという方法をとりました。さらには「ドコモ」の参加等、視点を広げた取り組みをしました。また一歩前進したと自負しています。そして、多くの参加者を得た今回の訓練で会員同士の「横のつながり・絆」がさらに一歩深まり、災害に対する免疫力が高まったことでしょう。そして、午後の反省会では、いくつもの反省点が出ましたが、次回に生かされるはずです。
氷川台自治会