くるくる保健室No .22『平成最後のらん・ラン・Run』

くるくる保健室Noなし

 

昨年のベストセラーの「君たちはどう生きるか」ではないですが「君たちはどうして走るのか?」人は何のために走るのでしょうか?ねぇ!人それぞれの目的があるかと存じますが・・・。

古代人にとって走ることは生きる為の手段でありとても美しい芸術のひとつだったのではないでしょうか?生きるために敵から逃れ、生きていくために獲物を追ってた、その手段に走りがあったんだと想います。その姿はとてもかっこよく、早く走れる人は国の英雄として崇められ、その姿はラスコー洞窟の壁画等に描かれ芸術としても古代人は走る姿を描いておりました。

一番の目的は「健康管理や体力維持」で全体の5割以上がこのタイプ。特に男女共に60歳代が高く、女性の20歳代では健康より「美容・ダイエット」を目的としている割合が高い傾向にあります。その他としてストレス解消やリフレッシュに走ったり、日本の上場企業のCEO等は自己啓発や自己研鑽の為に走っているという事を伺ったことがございますし、朝ランで一日のスケジュールを整理し仕事の段取りを付け、夜ランでは一日の仕事や人間関係を振り返って情報の整理をしたり。また、アスリートは競技の練習の一環として自己記録の更新等を目指し走っている人もいる事でしょうし、最近では旅ランやファンランなんて言う言葉も生まれ、ただ走りを愉しみ、家族や友人との絆を強める為に走っているという方もいらっしゃいます。

世界的に有名な作家であります、かの村上春樹氏は「走ることについて語るときに僕の語ること」という著書の中で、小説を書くために走り、下半身を鍛え下丹田(げたんでん)を決めなくては小説は書けないし、小説を書く方法の多くの道路を毎朝走ることから学んできた、と言っております。ハルキストにとっては周知の事実ですよね!

私にとって走ることは何かと問われれば、やはり健康を売り物として生業を立てているものとして、キーワードは「健康のためのラン」という事になると想います。走っていて不健康になって病気やゲガをしてしまうのであれば本末転倒ですよね。

ここで私の浅いマラソン歴を紹介させて頂きます。 

1997年28歳の時のホノルルマラソンがマラソンデビューでした。この年に結婚をしたので、何か記念になることはないか、と考えました。一度でいいから42.195㎞という未知の距離に挑戦し、これから訪れる人生の荒波もこのマラソンを走り切れば何とか乗り越えられるのではなかろうか、という熱い想いで挑戦しました。結果はこんなものでした!その後は一種の燃え尽き症候群だったのでしょうね!その間に治療室の開院や子供が生まれたりと走る時間もありませんでしたし、走るなんて言う気持ちの余裕すらもありませんでした。

そして2011年3月11日の東日本大震災を機に何か自分もしなくてはという想いに駆られたのと、昨今の東京マラソンブームに乗り、3回目の抽選で初当選したので14年ぶりに満を持してまた走り出しました。

走っていく中で次第に身体の中身も少しづつ変化し、体重は勿論減っていきましたし、悪玉コレステロールや中性脂肪の値も徐々に減少していきました。ところが順調に落ちていた数値が2013年10月の検査では悪玉のLDLコレステル値が上がってしまい、主治医に経過観察を宣告されました。結局、このシーズンは左膝を痛めてしまい2014年の3月開催の板橋cityマラソンはスタート地点にも立てず棄権する羽目になってしまいました。ここで何が起きたかと申しますと、実はヨーグルトが花粉症にいいというニュースが各メディアで流れ、それでは自分の身体で実験してみようという事で、プレーンのヨーグルト500gを2日に一個、朝食に食べていたのです。ある先生から、「乳製品はリンパがつまり浮腫みの原因にもなるから気を付けたほうがいいよ」というアドバイスも受けていた為、一体どちらが本当か自分の身体を通して実験してみました。結果的には私の身体にはヨーグルトが合ってなかったという事になりますが、それ以来ヨーグルトは食べておりません。体重も現在65㎏前後で落ち着いておりますし、悪玉コレステロールや中性脂肪の値も正常範囲内で何とか推移しております。主治医に「どうして、一年で正常範囲内に戻ったのか?」と質問され「はい!ヨーグルトを食べなくなったからです」と云ったら「それはないよー」とおっしゃってました。これにもエビデンスがございませんので、あくまでも個人的な見解ですし万人に合うものではありませんからご了承くださいね!

走ることによって、血液検査のデーターが正常範囲内にすべておさまったおかげで、嬉しい出来事が1つだけありました。生命保険料が年間で3万円程安くなりました。第一生命が売り出している‘ジャスト‘という商品で健康診断割引特約が適応されました。この商品はBMIが18以上27以下、血圧が最低85mmHg未満最高が130mmHg未満HbA1cが5.5%以下という数字をクリアー出来れば適応されます。私の担当さんは顧客を1000人程抱えているという事ですが、クリアー出来た人は20~30代の人は別として私が2人目立ったそうです。 私は走ることによって保険料が安くなるというメリットがあった訳です。

走る前のチェック項目としては血圧や心拍数などは予め測定していた方が賢明だと想います。特に安静時の心拍数は把握しておいてください。目標とする心拍数の大まかな目安を算出する方法として一般的によく使われる、カルボーネン式と呼ばれる簡単な計算式がありますので、詳細を知りたい方は調べて下さいね!ここで使うのが最大心拍数と安静時心拍数ですので日頃の安静時心拍数は特に大事です。最大心拍数は220から年齢を引いた数で計算します。

ランニングが健康に及ぼす20の効果
考えられるマラソンの健康効果はここに出ている20項目ですが他にも多々あると想います。⑦に糖質を食べる理由になる、とあります。私もスイーツが大好きでついつい食べてしまいますが、やはり走っているから大丈夫だろう、と良心の呵責もありませんし、安心して食べてしまいます。逆にこれが怖くて、つい食べ過ぎてしまって肥満の原因になるので気を付けなくてはなりませんが。お酒も一緒です。ひょっとすると、私の走る目的は大好きなどらやきとシュークリーム、そして新潟の美味しい日本酒を大義名分のもと堂々と食べる事かもしれません!

ここで、現在のマラソンの世界記録と日本記録を男女別に挙げてみました。
男子は昨年、世界、日本ともに記録が塗り替えられているのに対し、女子は世界も日本も記録が15、6年程変わってないという事が分かります。理由はなんなんですかねぇ?男子はまさに高速化し、F1化していますよね!今年あたりはいよいよ2時間の壁を破るんじゃないでしょうか?
キプチョゲ選手が言っております。「マラソンを走る為にとって最も必要な要素は?」という質問に対し、
①継続的にトレーニングすること
②情熱を持つこと
③しっかりとした自己管理をして、シンプルな生活を送ること
と言っております。公式記録ではありませんが彼は既に2時間25秒で走っているそうですね!頂点に立った今でも、キプチョゲ選手は謙虚で、スター気どりすることなく、ケニアのトレーニングキャンプで他の選手達と集団生活を送り、余暇は家族と過ごし、読書をこよなく愛している、との事です。超一流は違いますよね・・・。
来月の東京マラソンではキプチョゲ選手の招致は出来ませんでしたが、大迫選手はエントリーしているようですし、非常に楽しみですね。

月間走行距離とタイムの関係はこのような関係がございますが、あまり走行距離にこだわりすぎますと逆に「今月は何キロ走ったから・・・目標達成」だとか「今週は目標に届かなかった・・・から残念!」と、距離ばかりが優先し、その数字ばかりを追い始めてしまい走力は全然身についていない、という結果になりかねません。特に50歳を過ぎたら距離よりも時間で走ったほうがいいですし、走行距離をあまりにも意識するあまり、適当な省エネ走りを身に着けてしまい、自分の持っているスピードが出せなくなる恐れがございますので、タイムも勿論頭打ちになります。つまり、量を増やして質が低下している状態に陥ってしまう可能性があります。
トレーニングの原則のひとつに「過負荷の法則」というものがあり、人間には環境適応能力があるため、同じ負荷のトレーニングをしていると、次第に身体が適応してしまい、効果が薄くなります。大事なのはトレーニングにも抑揚や緩急を付け、出したり引いたり、入れたり抜いたりとメリハリを付ける方がトレーニン効果が表れやすいのです。距離ばかり気にして走るより、週一回でいいですから、しっかりと体に刺激を入れる練習を行えばランニング障害なく健康的にタイムも伸びるのではないでしょうか?決して走行距離を増やす為だけに、毎日走る事だけはやめて下さいね!休養も大事な練習の一環だと想ってください。
最近のトピックスとして乳酸とミトコンドリアが各メディアで取り上げられてます。乳酸は昔、疲労物質として筋肉痛の原因で悪者扱いされていました。最近は乳酸をある程度分泌させるスピードトレーニングで速筋を強化し、乳酸を餌にしているミトコンドリアを増やし持久力に関係する遅筋を刺激してマラソンに必要なスタミナを付けていくトレーニング方法で、効率的に短い時間で結果を出している人たちも多くなってきております。
月間走行距離400㎞の方は、乳酸が分泌する閾値(しきいち)が1㎞4分23秒だったそうですが、それよりも少し早い時間1㎞4分15秒で1㎞を5回途中休憩を挟んだりインターバルを入れてトータル5㎞で、あとは、ゆっくり走っているだけで、月間走行距離は半分以下になったにもかかわらず、記録は大幅に伸びて念願のサブスリーを見事達成したそうです。これによって練習時間が減り、また新たな趣味に時間を費やせるようになったとの事です。ただ漠然と長く走っていればいいっという訳ではないんですね!練習も科学的に行った方がいいようですね!

ランネットでおなじみの(株)アールビーズが行っておりますランナー世論調査、というのがございますが、2018年の最新の結果から月間走行距離は平均が124.1㎞、一番多かったのが51㎞~100㎞未満の28%でした。ランニングを続けるモチベーション・目的としては、大会出場の為が健康維持を追い抜き、競技志向の強いランナーが増加傾向にあるようです。ランニングを行う頻度は週に3~4回が一番多いですね!競技志向のランナーが多くなってきているという事は、それだけ痛みを感じているランナーも多くなっていると想いますが、2018年の調査には痛みを抱えている部位等の痛みに関する調査内容がなく比較できませんでした。2016年と2017年では2017年の方が痛みが特にない、と答えた方が37%、2016年は34%でした。痛みが特にないと答えた方が3%程増加しております。ランニングによって生じる疼痛部位としては膝が圧倒的に多く、第1位に君臨しております。痛みが無い、と答えた方が増えたと言っても、依然6割を超えるの方々が痛みを感じているというのが現状であることには変わりはございません。

ランニング障害は、洗練されたフォームで走っている一流のトップランナーから、最近走り始めたビギナーランナーまで、すべてのランナーが発症する危険性を持ち合わせているという特徴がございます。箱根駅伝をテレビで観戦していても、ケガで苦しんでいたとか、練習が痛みの為出来なかった、という解説が聞こえてきますし、世界記録保持者のキプチョゲですら「レース中にはいろんな問題が起こるし、あらゆるところに痛みを感じます。痛みを乗り越えるのも挑戦のひとつです。」と言っているくらいですから・・・。

全てのランナーの6割が痛みを抱えていると云いましたが、その原因は一体何なんでしょうか?

私が考える原因として①身体②道具③練習④生活習慣の4つに分類しました。

①身体といたしましては先ず大きな原因の一つにknee-in too-outがございます。これが基となって距骨下関節が回内位からさらに過回内位になるという訳です。これがOver-Pronationt(オーバープロネーション)ですね!

②道具についてですが、正直なところ治療家として、腕一本でニーイン・トーアウトやオーバープロネーションを治せればいいのですが、なかなかそれまでの腕が伴わない、といったところが正直な話です。情けない限りなんですが・・・。そこで大いに活躍し助けてくれるのが道具なのです。その中でも特に大事なのが靴とインソールです。靴で大事なのはサイズですが、サイズは前後の長さだけではなく、横幅も大事で、前後が合っていても横幅がズレていると足部の過回内動作の助長、擦れ、力の伝達効率の悪化等の問題が生じますので、計測もせず、ただ安いという理由でネット通販等で試し履きもせずに購入するのはいかがなものかと?出来る事ならスポーツ量販店やメーカー直営店の足の実測値計測を行っているところで計測をしてから購入するのがいいのではないかと想います。私はアシックスを履いておりますが、アシックスはノーマルとワイド、スリムの3段階で横幅サイズを展開しています。その他ミズノやニューバランスも横幅サイズの展開をしておりますが、すべてのモデルで横幅サイズ展開をしているわけではないので注意は要します。例えば「前後長は25.5㎝が丁度良いけど、横幅が合わないので26.0㎝にしようとか」「デザイン、機能性はこのモデルがいいけどスリムサイズがないので別のモデルにしよう」など、判断に迷うことがあるかもしれませんが、最低限押さえておくべきポイントは、シューズに足指が変にあたらないことで、自分の体型に合ったものを選択することです。ランニングにおいて致命傷になるのが皮膚のトラブルだからです。つま先部分から人差し指1本分くらいの幅約1㎝隙間がある状態がベストであると言われております。小さい靴は指先が折れ曲がってエネルギー伝達が円滑に行えずにマメ、水泡形成、爪下血腫(黒爪)等の皮膚トラブルが生じる訳ですが、これが何て言ったってランナーにとってはレースを棄権するかしないかの瀬戸際に追いやられます。意外と筋肉や腱とかは我慢できますが、皮膚の痛みは我慢できない、という事が多いですよね・・・。ワセリンを予め塗ったり、テーピングやバンドエイドでカバーはしますが・・・。
しかし小さすぎる靴より問題視されている「デカ靴問題」の方が厄介です!デカ靴とは体型に対して必要以上にソールにボリュームのある靴のことで、ショップではおもに初心者コーナーに置かれているあれです。これもランナーあるあるの1つかもしれませんが、「初心者は筋肉が出来ていないので、着地の衝撃を受け止められる様にソールの厚いものがいい」とされてきたせいかもしれません。店員さんもランナーの話を聞き、タイムやランニング歴だけを判断材料としてソールの厚い重いシューズをお薦めするという神話がありますので、気を付けましょう!例えば160㎝で体重が50㎏位の女性が、非常にクッション性の高い厚底ソールのシューズを履いて走ってしまうと、ランニング中に靴の大きさによって足が振り回されて、言わば軽自動車にダンプカーのタイヤを履いている状態なり、クッション性には優れておりますが前に進むためのエネルギーが余計に必要になり、極端な話、長靴を履いて走っているような違和感に近いものを感じているはずです。
ランニングシューズを履き比べていない初心者ランナー程、「こんなものか」と納得してトレーニングを続ける事によって過回内足が進行し、アライメント不良も助長されて、靴の中でも足が前後に大きくずれてしまいます。皮膚問題も生じますし、ひざ裏痛の原因にもなりますのでくれぐれもシューズ選びだけは慎重にお願いいたします。 サイズ、クッション性、重量、サポート性を総合的に判断し選んで下さいね!サポート性とは踵が硬くねじりづらく、足指の付け根から先だけが曲がるものがサポート性が高くいいとされております。あとシューズの寿命はおおむね200㎞~600㎞、もしくは2年間と把握しておくといいです。3年前に買ったシューズだけど殆ど履いていないので大丈夫ですか?と質問する患者さんも居られますが経年劣化するので3年経過しているのであれば足の為にはランニング用では履かずにウオーキング用として履いてください、と指導しております。
しかし、ナイキのズームフライは凄いですね!厚底なのに軽く、クション性もあるのにカーボンプレートによって地面からの高い反発力も兼ね揃えています。昨年のロンドンマラソンでは1位から7位を独占しておりますし、大迫さんも設楽さんもこれを履いてますよね?

次にインソールの話になりますが、ランニング障害の最大の原因であると言われるニーイン・トーアウトによる過回内足は、靴とインソールで劇的に変えられる訳です。靴・インソールにはそれぞれの役割がございます。靴はランニング障害の予防改善を目的としサポート機能をしっかり補うのに適しているのに対し、インソールはより高度な矯正機能を補う道具である、という事です。出来ればオーダーメードのインソールがベストですが既製品も侮れません。

意外な盲点なのがソックスではないでしょうか?また、好みがはっきり分かれるのもソックスではないでしょうか?ノーマルタイプから5本指、足袋タイプ、滑り止めが付いているもの付いていないもの、土踏まず部分に絞りがあったり、踵部分をしっかりホールドされているものなど、色々なタイプがございます。私も色々なタイプ、メーカーの物を履いてみましたが、自分には今の処、薄手の5本指で滑り止めが無い方がいい気がいたしました。当院でもファイテンの足王や靴下屋が展開しているタビオ、ゴールドウィンから出ているC3フィット、コーマ社のフットマックスを販売していた時もあったんですが個人的にはハーフではC3フィットが、フルではタビオがフィットしている様に想いました。
元々ソックスは地面と靴の間にある大切なものですし、是非ともこだわっていただきたいなぁと想います。私が靴下で失敗したのが、5本指を履く際に左足の小指にしっかりと入っていなくて、それが靴の摩擦で水泡になり皮が剥けてしまったという痛い思い出がございます。ですから5本指を履くときはそれぞれの指をそれぞれの袋の中にしっかり入ったのを確認してから靴を履いてくださいね!

タイツも各メーカー色々なものを出しておりますが、膝の悪い方は膝をしっかりサポートしてくれるものがいいでしょうし、レースの後半しっかり脚の上がる機能の付いたタイツだといいですよね!私は医療材料等を購入している岡山県のダイヤ工業のダーウィンという製品を履いております。ワコールのCW-Xや靴下でも出てきましたゴールドウィンのC3fit、デサントが販売ライセンスを持っているスキンズ等がリカバリータイツとして有名なところです!ミズノ・アシックスもいいものを出しております。

③練習ですが、先ずは身体に負担の少ない痛みを伴わないランニングフォームを身に付けなくてはなりません。そもそもランニングは、誰もが気軽に楽しめるスポーツで、実際、我々は誰に教わった訳でもなく走ろうと思えば走ることが出来てしまいます。サッカーや野球等、他のスポーツを始める時には、ボールの投げ方や蹴り方、バットやラケットのスイングの仕方、バタ足や息継ぎの方法など、誰もがそのスポーツに必要な身体の動かし方を指導者に学んでいきますが、自然と走る事の出来るランニングの場合は走る為の身体づくりやフォーム、身体の使い方を学んでから始める人は極少数派だと想います。特に多いのが、学生時代に部活や体育の授業で普通に走れたからと言っていきなりレースに出て走り出してしまうケースです。この結果ランニング障害が生じてしまう訳ですが、理想のフォームとはケガの原因になる着地時の衝撃を最大限に軽減できるフォームなのではないでしょうか?大切なのは自分が走ってみての感覚を信じて身体と対話をし、無用な負荷、ストレスを溜めこまない状態で走ることではないでしょうか。正しいフォームはあってないようなもんです。
着地時の衝撃が軽減できればランニング障害がなくなると言っても決して過言ではないと想いますが、人それぞれの体形に合った着地がありますので、必ずしも、つま先で着地するフォアフットがいいとも言えませんし、踵で着地するリアフットが悪いわけでもないです。私が患者さんに推奨している足裏全体で着地するミッドフットですが、とにかく競歩の様な極端なつま先を上げ過ぎる踵着地さえしなければいいのではないかなぁと想います。当院にも元実業団で走っていたという方が患者で来た時に聞いたんですが、フルマラソンでも踵を付くことなくずっとフォアフットで走り続けるとの事でした。

ウォーミングアップですが、動的ストレッチと言われる動きを伴った体操や、その場ジャンプ、スキップ等を行って、決してゆっくり伸ばす静的ストレッチはウオーミングアップ時には行わない様にしてください。静的ストレッチは走り終わった後のクールダウンで行ってください。
練習メニューもワンパターンにならず、インターバル走やビルドアップ走、時にはゆっくり長い距離を走るロングスローディスタンス(LSD)、時間で走るロングスロータイム(LST)を行ったりと、メニューには緩急や強弱をつけて刺激を入れる練習は週一回もやれば十分かと想います。先程もお話しした通りです。
コースは最低3つは用意して頂いて、いつも同じコースばかりだと筋肉も慣れてしまい、刺激が入らないので、アスファルトだけではなく土、砂利、ウッドチップ、トラック、平地だけではなく登り下りの坂、右カーブ左カーブ、たまにはクロカンやトレイルも筋肉に新たな刺激となっていいのではないかと想います。私も都内に出る時は東京駅まで行って着替え、皇居を2~3周する様にしております。皇居の一周には色々な刺激があって筋肉に良い刺激が入るような気がいたします。当院の患者さんの中にはランニングマシーンでしか走らないという方がいたのですが、これでは筋肉への負荷が一定であまりお勧めできませんし、前から流れてくるベルトコンベアの接地が前に進むキック力を鍛えるのではなく、逆に押しとどめる筋力に効果を発揮してしまう為、ブレーキを掛け乍ら走っているようなものですから問題ですね。

また、通常の舗装道路は路面の排水の関係から道路中央が高く、路側が低いカマボコ型を呈していますので、この様な舗装道路を走行する際には、左側を走行すれば路面は右側が高い状況となり、右側を走行すれば左側が高くなる形状になります。これは200m400m走のトラックと同じように半時計回りで走る為、左足が過回内を強制されるのと同様に高い側の方が反対の低い側より回内が大きくなりますので、舗装道路を走る際には安全が確保されるのであれば極力道路の真中を走ったほうが障害が少なくて済みます。トラックを走る際も反時計回りだけではなく、たまには時計回りで走るのも同じ左足ばかりに負担をかけずに済みますよ。

フルマラソンを走る際にはシミレーションをしっかり行い、何時に起き、いつ朝食を摂るか、トイレ、交通手段、給水の位置や補食をいつとるか等細かく考えられることすべてにおいてシミレーションし、レースマネージメントを入念に行ってくださいね。どんな状況に陥っても、決して慌てず落ち着いて対処できるはずです。
フルマラソンの42.195㎞では、走った人それぞれの物語が必ず発生します。ちょっと古い話になりなりますが、2004年のニューヨークシティーマラソンの結果から年齢別タイムを比較したところ、19歳を振り出しとして、ランナーたちは毎年齢早くなり、27歳でピークに達しました。27歳を過ぎると、タイムは落ち始めるのですが、19歳の時と同じスピードに戻るのは一体何歳ぐらいだと想いますか? 答えは64歳だったそうです。19歳の人と64歳の人が同じフィールドに立って互角に渡り合える競技が他にはあるのか?
このあいだ、
同業のある先生と話しました。その先生は来年60歳で現役のランナーなんですが、大会に出場すると各年代での順位も出るので、50代になった時に40代の順位よりもきっと上がるだろうと想って楽しみにしていたそうです。しかし、実際は40代の時よりも順位が落ちたとの事でした。おそらく競技人口は40代が一番多く、メタボ対策等で走るのでしょうが、実際に50代になって競技を続けている人はバリバリの本格派の実力者だけとなり、その他の人は辞めてしまうのではないか?と分析しておられました。マラソンで鍛えられた身体は、決して年だからと言ってタイムが向上するときと同じようなペースではなくゆっくりとしたペースで落ちるます。マラソンは10代の市民ランナーから、上は90歳代の方もいるくらいですので凄い競技ですよね!人は年をとるから走るのをやめるのではなく、走るのをやめるからどうやら年を取るようです。ゆっくり長く死ぬまで走っていたいと想う今日この頃です。

最後に④生活習慣です。私はランニング障害の一番の原因は、普段の生活習慣に隠されているのではないかと推測しております。特に、座り方と寝方が不自然だと体に対する負担が大きくなり、その状態でランニングを行うと障害が発生するリスクが高まるのではないか、と考えております。早稲田の岡先生ではないですが、「座り過ぎが寿命を縮める」という事をおしゃっている学者さんも居りますし、世界各国で座り過ぎの弊害が研究されエビデンスもあるようです。最近の研究では、日常的に適度な身体活動(運動)を行っていても、座り過ぎによる死亡、肥満、過体重、糖尿病、一部の癌、心血管疾患のリスクは変わらないという研究結果も出てます。つまり、週末に10㎞走っているから大丈夫だとか、日頃から適度にウォーキングやジョギング等の運動をしているから問題ないだろうと考えている方もいると想いますが、残念ながらそれでは座り過ぎによる悪影響は解消できない、という事です。
ではどうすればいいのか?仕事中や授業中、可能であれば30分に1回、少なくとも1時間に1回は立ち上がって少し動くだけでも健康リスクがかなり軽減されることが、研究の結果から解明されつつあるとの事です。特にランナーにとっては座り過ぎによって坐骨周辺の筋群が座面に圧迫を受け、それによって筋膜、筋肉が癒着し硬くなることによって走るために必要な筋肉や腱にも連鎖しパフォーマンスが発揮できなくなるのではないかと考えております。また、就寝時の姿勢ですが、うつ伏せ、仰向き、横向きと皆さんそれぞれ決まった寝方があると想います。適度に寝返りをうっているので大丈夫だとは思いますが、同じ姿勢でずっと一晩中寝ているとやはり筋肉、筋膜等が固まってしまうのではないかと考えております。特にどちらかの肩を下にして寝る側臥位は危険が潜んでおります。
睡眠時間は7時間が、世界的に見ても健康やアンチエイジングの見地からも理想とされていますよね!特に我々ランナーにとってリカバリーに必要な成長ホルモンは、1日の分泌量の約7割が睡眠中に分泌され、そのうち約7割が寝始めの2,3時間に分泌されると言われ、その後全身に行き渡り6時間ほどかけて働く、と言われておりますので、個人差は勿論ございますが睡眠時間は7時間あれば十分です。特にレース前日は興奮して眠れない事も多々あるかとは思いますが、非常に睡眠は大事です。ちなみに子供にとっての成長ホルモンはまさに成長の為ですが、大人にとっての成長ホルモンは身体の修復・修繕をするホルモンである訳ですね。

栄養面においては、○○だけ摂っていればランニングにはOKという食品は勿論ないのですが、お薦め食材は卵・アボガド・パプリカだそうです。基本の食事で五大栄養素をバランスよく摂った上での+アルファーとしての1品、と認識して頂ければと想います。ランナーにとってはレース前夜やレース当日の朝食に一体何を取ればいいのかなぁと悩まれると想います。私も昔レースに勝つという意味で前夜に脂っこいロースカツ定食を食べ、大失敗したことがあります。初めてフルに出場したホノルルでは、前夜にカーボローディングパーティーがゴールのカピオラニ公園で行うという事で行った記憶があるのですが、日本人にはあまり必要ないみたいですね!もともとは普段から肉や脂を多く摂取している欧米人が、炭水化物を多く身体に溜めこむ目的でパスタを食べ、競技成績が上がった事でカーボローディング=パスタというイメージが定着してしまいましたが、我々日本人は普段からお米を食べているので、ランニングに必要な炭水化物であるカーボハイドレイトは日常の食生活で十分摂取しているのでOKだそうです。あまり意識しすぎると逆にコンディションを崩してしまうというのが、ランナーあるあるの1つですよね!
ちなみに私はレース前日の夜は勝負飯として豚ばら肉とネギとうどんを煮込んで食べております。普段は野菜をもっとたっぷり、うどんと煮込んで食べる事が多いのですが、レース前にあまり植物繊維を多く摂りすぎますと便通が良くなりすぎてトイレに苦労しますし、辛いものも苦い経験があります。当日、朝はレース4時間前からこまめにバナナやサトウの切り餅をパックごとお湯で温めて会場でもスタートぎりぎりまで食べています。餅は腹持ちも良くねばねばとして硬いのでやはり噛むという動作がいいと想います。
アルコールは分解されるまで48時間、肝機能が低下していると72時間程度かかります。皆さんレース前は1ヶ月くらいは禁酒してますか?身体の疲労物質を分解するのも肝臓ですしレース前はあまり肝臓に負担をかけない方が賢明ですよね!それよりはゴール後に自分に乾杯、という事で祝杯として美味しいビール飲んだ方がいいですよね。
おまけに、レース後にはクエン酸が入った塩分高めの梅干しを食べるとリカバリーに適しておりますし、何といっても副腎の超回復が計れます。   

                レッツ・スタート♪

カテゴリー:くるくる保健室
くるくるチャンネル事務局

コメントは停止中です。

  • 東久留米ってどんなまち?
  • 特集
  • くるくるプレス
  • スタッフチャンネル
  • 登録団体募集
  • 市民レポーター募集
  • 登録団体・市民レポーター向けマニュアル

ページのトップへ戻る