頑張らせすぎないで

ある日、Aくんが仲間たちに
「いつもBくんは、ぐにゃぐにゃしていて、赤ちゃんみたいなんだよ〜」と言った。

Bくん
「赤ちゃんじゃないよ」

Aくん
「だって、先生にいっつも言われているじゃん」

Bくん
「・・・・。」

なぜ「ぐにゃぐにゃしてないよ!!」と言葉が出なかったかというと、Bくんは、小さい時から体幹の育ちの弱さがあり、療育に通ったり、生活に工夫をしたり、そんな環境で一生懸命に取り組んできて、自分の苦手を知っていたから。

療育先では、
「頑張ったね〜。かっこよくなったじゃん!」と、進歩が感じられる言葉ももらっていた。

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このやり取り、子どもたちの集団の中でよく見られるやり取りです。
このやり取りを保護者が知った時、
「もっと頑張らせなくては!!!」と、我が子の療育や生活の中での取り組みを、より頑張らせようと思う流れがあります。
なぜなら、我が子が傷つくであろう・・・深く傷つく前になんとかしてあげよう!と考えるからです。
そして、“機能さえ育っていれば、問題が解消する”と思うからです。

そんな時、期間をかけて頑張って取り組んできたお子さんを、さらに頑張る、しかも短期間で集中的にどうにかしよう!なんて考えなくていいです。

やり取りの背景には、お子さん自身の“苦手”や“機能的な問題”があったとしても、そういう問題が出てくるたびに、お子さんを頑張らせないと・・・克服させないと・・・解決できないならば、それは、いつか限界を迎えます。

人間は、誰しも“頑張ること”には限界があります。

ひとつふたつ・・・もっとできないことがあっても、お子さんのペースで真っ直ぐに育っていくことの方が重要です。

どんな時も、取り組んでいるならば、そのペースを守ってあげてください。

“安心・安全な場所”
自分のペースを理解してもらえる安心
自分のペースを守ってもらえる安全
苦手があることを知ってもらえている安心
苦手を工夫することが認められている安全
自分の言葉、自分の考え、自分の思い・・・それを受け止めてもらえ、孤独さを与えない安心や安全な場所が絶対に必要だと思います。

安心安全な場所だからこそ、チカラを発揮できる。
目の前のお子さんが、チカラを発揮できていないなら、それは安心安全が与えられていないのかも?と感じて欲しいのです。

それでも、向き合わないといけないことが出てきます。
向き合うのは子どもたち本人です。
どれだけ向き合うのか?向き合うのをやめるのか?どうやって向き合ってみるのか?・・・子どもたちが決めるべきだと考えています。

だから、先のやり取りがあった時こそ、その場に居合わせるだろう大人が、その子への眼差しを共有し、その子の育ちのペースを守ってあげるように、できることを考えるべきだと考えています。

で・こぼでは、そんな具体的なケースを元に、みんなで考え合っています。