【災害弱者対策】「第4回要援護者支援避難訓練」地域コミュニティがもたらす地域避難所の構築! ~避難訓練は「見学から実践訓練へ」~(会員参加者213名、参加者総数は244名) 201611月25日

     1120()9301200 氷川台自治会「第4回要援護者支援避難訓練」が小山台遊園・氷川台会館・自治会農園を中心に実施されました。この訓練は地域の「支え合い・助け合い」、地域コミュニティがあって始めて可能な要援護者(災害弱者)を対象にした避難支援活動です。

 安心・安全な地域を目指す氷川台自治会は高齢者対策の柱の一つ「見守り」活動に並ぶ災害弱者対策(要援護者支援)も早くも4回目の避難訓練になりました。要援護者(災害弱者)対策も自治会に定着し、訓練参加者も増え続け、“いつまでも暮らし続けたいまち、ひかわだい”、“安心・安全なまち 氷川台“をみんなでつくるため、地域住民の強い「絆と支え合い」で実施されています。

1災害本部本部長(会長)の開会宣言に真剣に耳を傾ける会員

    氷川台自治会では、高齢化率33%弱(24年は37%、5年で4%低下)の会員構成を危惧して、4年前に「要援護者避難支援委員会」を設立して要援護者(災害弱者)を守るための訓練を始めました。現在、自治会には要援護者登録をされた会員が85名と2施設(ライフパートナーこぶし、東京コロニー)、災害時支援隊員登録をしている会員が60名います。 

今年度は、4月に発生し大きな被害をもたらした想定外の「熊本地震」を教訓に、「防災対策を根本的に見直す」という原点に返り、氷川台自治会の地域特性(高齢化率33%、堅固な地盤、戸建て住宅、高台、地域コミュニテェイ等)を加味した新たな防災対策を講じて“誰もが安心して住める氷川台”の構築へ向けてのステップと位置付けました。

 市指定避難所(学芸大学支援学校)には多くの知らない人が押し寄せて来ます。阪神・淡路大震災、東日本大震災、長野北部地震、熊本地震等、災害が起きる毎に避難所運営の課題(人権問題、高齢者・障がい者対策等)が噴出していますが解決策はありません。解決策は、地域住民が個々のニーズに応じた避難所運営を自主的に行うことです。自分がどうやって助かるか、どうやって隣人を助けるか、何が出来るか、常日頃からの「つながり」が災害時の大きな力になります。

自治会では、災害時支援協定を結んでいるライフパートナーこぶし・聖グレゴリオの家を災害弱者のための2次避難所としていますが、基本は「支え合い・助け合い」に基づく「在宅避難」との結論に達し体制の構築を目指すことになりました。

災害時に被災会員が宅避難生活を送るための必要不可欠な対策、ライフラインが遮断した時の対策、自宅避難生活が困難な会員の受け入れ居室の確保対策、地域避難所設立に必要な資機材の確保等も併せた避難訓練を実施しました。

 午前900 発災を想定した訓練は、支援隊員がハンドスピーカーを持って発災通知と避難  勧告をして自治会内を巡回

2 発災と避難勧告

午前910 発災を知った会員が避難袋を持って一次避難所に集まり、避難確認登録を始めます。

3 避難袋を背に集まる会員

 

午前930 災害本部設立

災害本部が設立され災害本部長(自治会会長)が「第4回要援護者支援避難訓練」の開会を宣言しました。

引き続き開会挨拶では

東日本大地震の記憶が徐々に風化しつつある事を憂え、今年度に入っても4月の熊本地震、10月の鳥取中部地震と大きな地震が発生しました。政府の地震調査会は610日に、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は東京で47%と高く、常日頃の災害への備えの重要性に改めて言及し、会員の安心・安全確保に向け、「支え合い・助け合い」をベースにした最善の策を講じると述べました。そのためには、会員の皆さんが夫々どうやって助かるか、どうやって隣人を助けるか、何ができるか、常日頃から考え、備え、訓練を繰り返すことが大事だと強く語りました。氷川台自治会の地域コミュニティに基ずく「地域避難所」を確立して「災害に負けないまち」をつくりましょう。

と会員に訴えました。

4  開会宣言をする殿田会長

5 開会時には避難者で満員状態

☆続いて並木市長が挨拶され、市長就任前の第1回要援護者避難訓練にも参加したこと、そして昨年今年と続けて参加して強く感じるのは、

氷川台自治会の取り組みには子供さんから高齢者の皆さんまで幅広く参加され、「地域のつながり」が出来ていることを強く感じる。また自治会の先進的な取組みは東久留米市全体に好影響をもたらし、活動は市の中に広がって来ている。市としても一層防災対策に注力していきたい」

旨を述べられました。

市長は開会後も長時間訓練会場に留まり、要援護者救助訓練では救助隊と一緒に救助に向かわれ、AED訓練においては自ら飛び込みで真剣に胸骨圧迫訓練に励むなどされました。

市長の参加は、自治会会員の励みになると共に市長を身近に感じ一層の関係強化、加えるに参加者と市長との親密感の深化に大いに資したことは間違いないと思います。

???????????????????????????????  地域の「支え合い・助け合い」の重要性を強く訴えられる並木市長  

☆続いて江原 東久留米消防署長が挨拶に立たれ、

一昨年の長野北部地震で起きた「白馬の奇跡」は地域の支え合いによるもので、今、この氷川台自治会にはそれが出来ている」

と評価の言葉を頂きました。また、氷川台自治会は来年119日に東京消防庁から防火防災功労賞「優秀賞」の受賞が決定しているとの紹介がありました。

「各消防署を通じ152事例の応募の中から最優秀賞に限りなく近い優秀賞に決定したのは、今日の訓練にも表れているように、自治会加入率97%超という地域の強い結束があるからと思う。」

と語られました。

7 東久留米消防署 江原署長の挨拶

 ☆続いて、殿田本部長が昨年も参加された間宮美季市議会議員が今年も氷川台自治会の要援護 者支援避難訓練に参加されているとの紹介があり、挨拶を促された間宮議員も前列に出て挨拶されました。その後も会場に留まり、市長同様にリヤカーによる救助訓練や、消火器訓練、車椅子搬送訓練に会員と共に参加され、氷川台自治会の要援護者避難訓練を体験されていました。

8 挨拶する間宮市議会議員

・自治会単独の避難訓練に、昨年に続き並木市長と間宮市議会議員に参加して頂き、会員にとって大きな励みになりました。昨年は、3名の市議会議員が参加されていましたが、今年は間宮議員だけの参加で、議員の地域防災に対する強い熱意を感じました。 

午前940 地域避難所立ち上げ訓練開始

救急車要請・AED持参・胸骨圧迫リレー訓練

自治会内にAEDはライフパ-トナーこぶしと聖グレゴリオの家に設置されています。避難所で重篤避難者(ダミー人形)を想定し、救急車要請電話、参加者が交代で胸骨圧迫(市長も参加)を継続、この間に支援隊員2名がグレゴリオの家・ライフパートナーこぶしへAEDとりに走ります。5分後到着、AEDを使用して命が救われる実践形式の訓練。

9 市長自ら胸骨圧迫リレーに参加

10  AED到着後に使用訓練

 午前9:50 【要援護者安否確認訓練】

支援隊員が5班に分かれて要援護者安否確認に向かいます。支援隊員は夫々トランシーバーで本部と交信しながら順次安否確認をして回りました。

11 安否確認中の支援隊員

午前9:50 【安否確認黄色旗の確認】

今年度から「安否確認黄色旗」の活用を図ることに致しました。災害時要援護者登録会員及び単身世帯会員の皆様が、災害発生時「私は無事です」と外に示すもので、これにより支援隊員や隣近所の方にいち早く無事を知らせる大切な手段となります。

12 無事を知らせる「黄色旗」を掲げた会員

13 道路から確認できる場所に掲揚します。

今回の訓練で48名の要援護者が「安全確認黄色旗」を掲げて安全を知らせました 

午前10:10 【被災者救出訓練】

安否確認中の支援隊員からトランシーバーを通じて救出救助要請(家具転倒による下敷きになった要援護者発見)で、災害本部長がリヤカーでの救出搬送指令を発令、支援隊員がレスキュー工具セットを持ってリヤカーで救出に向かう。

14   リヤカーと救助工具が入ったレスキューセットを持って救助に向かう支援隊員(市長も一緒に向かいます)

15  家具転倒の下敷きになった要援護者(ダミー人形)を救出してリヤカーへ載せています(救助訓練の様子を見守る市長と間宮議員)

16  被災者を救出して駆け足で避難所へ搬送する支援隊員(切迫感が有ります)

17  避難所に到着した被災者を担架に乗せ換えて災害本部へ運び入れます。

午前11:10 【防火水槽汲み上げ訓練】

氷川台自治会一次避難所の小山台遊園地下に防火水槽が設けられてあります。7年前は防火水槽の案内看板があってもマンホールが埋まって位置の確認さえできませんでした。247月に位置確認とマンホールの嵩上げ工事を環境政策課によって実施され防火水槽の機能を果たせるようになっていました。今回、自治会独自の避難体制構築にあたり、防火水槽の活用が必須となりエンジン給水ポンプを購入しての訓練となりました。地震によるライフラインの遮断で上水道消火栓や生活用水が不能になった場合、防火水槽の貯留水や近の黒目川、野火止用水路の流水を給水して生活用水として利用します。

18   防火水槽マンホールとエンジン式給水ポンプ

19   防火水槽から汲み上げられた貯留水(何十年ぶりに汲み上げられた水ですが綺麗な水でした。)  

午前10:50 【マンホールトイレ設置訓練】

避難所生活での一番の問題となるトイレ問題を解消するために新たにマンホールトイレを購入しました。自治会高齢者や障碍者の方も利用し易いように車椅子のまま入れる大型テントのマンホールトイレを導入しました。

20 マンホールトイレ設置

21 車椅子の高齢者も利用可能です。

午前11:20 【スタンドパイプ放水実践訓練】

「見る訓練から参加する訓練へ」の実践で、スタンドパイプを消火栓設置~ホース取り付け~放水の一連の作業を支援隊員によって行いました。

22  スタンドパイプ取り付けも支援隊が行います。

23 放水ホースの取り付けから火災現場への延長

24 放水訓練

 【その他の訓練】

25  街頭消火器集積訓練(自治会設置消火器)

26  初期消火訓練(自治会設置の街頭消火器)

27  簡易トイレ・テント組立訓練

28 車椅子組立・搬送訓練

29  ストレッチャー搬送訓練

30  リヤカー組立訓練

31  リヤカー搬送訓練

32 発電機起動及び照明設置点灯訓練

33  スタンドパイプ訓練(自治会所有)

34 2次避難所搬送訓練(押し手は間宮議員、搬送被災者は会長)

35 炊き出し訓練

 今回の避難訓練では要援護者登録会員85名と2施設のうち、本人が避難所へ来たり、家族の方が自宅で無事であることを伝えに避難訓練に参加された方が47名と2施設に及びました。また、初めて取り入れた「安全確認黄色旗」を玄関先に掲げての訓練参加者も48名に及びました。支援隊も60名の登録隊員の内51名が避難訓練に参加して避難技術の習得にあたりました。

36  椅子に座って訓練を見入る要援護者

37 マンホールトイレに群がる参加者

38  「安全確認黄色旗」を掲げる支援隊員

39 感震ブレーカーの説明に聴き入る参加者

 40 チビッ子支援隊の放水訓練

41   椅子に座って訓練を見学する要援護者(参加加者最高齢は92歳の要援護者)

42   参加支援隊員勢ぞろい

 午前1145 「第4回要援護者支援避難訓練」の講評

☆田無警察署 新貝課長

43

☆東久留米消防署新川出張所 古舘出張所長

44 

☆東久留米市社会福祉協議会 小林事務局長

45

☆社会福祉法人龍鳳 ライフパトナーこぶし 苅部施設長と訓練に参加した利用者さん

46

講評を頂いたそれぞれの機関の皆様には、第1回要援護者支援避難訓練(平成25)らご協力とご指導をしていただいて来ました。 

☆最後に、殿田会長が今年も避難訓練が予定通り一人の怪我人もなく滞りなく成功裡に終了した事を述べ閉会を宣言。続いて参加者一同、避難訓練を計画・実施した関係者各位、そして避難訓練を全面的に支援・協力頂いた各関係機関への謝辞が述べられ、

今後も更に一段と自治会全体の一体感・連携を強化し住みよい安全な町づくりに努力していきたい」

とその決意が述べられました。

午前1200 散会後200人分のトン汁と非常食(アルファ米・クラッカー)が配られました。

47  裏方の炊出し隊の皆さんです。

48  氷川台名物のトン汁に列をなす参加者(自給自足を地で行く氷川台自治会の炊き出しは、氷川台農園(自治会農園)で育てられた野菜がふんだんに入ったトン汁です)

 今回の要援護者支援避難訓練の目的を「見学から実践訓練へ」と、災害時に支援隊員が躊躇なく避難支援行動に移れる技術を習得することにおいて実施しました。災害が発生したときの公的機関の支援は期待できない前提での体制構築が何より大切ではないかと思います。また、氷川台自治会会員が家屋損壊等で在宅避難生活が送れなくなった時のために、被災を逃れた会員が自宅に避難者を受け入れる登録制度も開始しました。氷川台自治会は地域コミュニティの力を活用した「地域避難所の確立」へ向けてスタートしました。

                                             氷川台自治会